実家では昔歯医者をしていました。でももう祖父はいません。私の祖父は歯科医師だったのです。父は歯医者を継がなかったのです。父はしたい仕事をしています。だから祖父の代で歯医者は終わりなのです。
でも今までずっと歯医者はありました。壊すに壊す事ができなかったのです。祖父の思い出がいっぱい詰まっているからです。小学生の時両親が共働きでした。小学校から帰ってきても自宅には誰もいないのです。だから私は実家の隣の歯医者へ帰っていたのです。そこには毎日祖父がいたからです。
受付でランドセルを置いて、祖父の働く姿を離れて見ていました。祖父の笑顔が大好きだったのです。祖父の働く姿を見るのが、私の日課だったのです。
だからこの歯医者を壊せなかったのです。でももう私も五十歳になりました。歯医者を壊して、そこに息子夫婦の家を建てる事を計画したのです。だから壊しました。
とても派手な解体でした。でもさっぱりしました。心の中に祖父は残っているからです。
小山市 歯医者